急遽先発勝利の翌日に登録抹消…。横山雄哉(阪神)は「藤浪の代役」に甘んじてはいけない


      週刊野球太郎
    


「次があるのであれば……」

 この言葉がひっかかった。

 東京ドームのレフトスタンドを埋め尽くした虎党たちも、横山雄哉(阪神)からこの言葉が発せられた瞬間、勝利の喜びを忘れ、どよめいた。

 4月23日の巨人戦。インフルエンザで登板回避した藤浪晋太郎に代わり、急遽、マウンドに上がったのが横山だった。

 横山は今季初登板初先発ながら、巨人打線を5回1失点、被安打6に抑え、勝利投手としてヒーローインタビューを受けた。

「本当はなかったチャンス、晋太郎がインフルエンザで苦しんでいたので、その代役をしっかりできるように頑張りました」

 藤浪の代役……。

 藤浪が復活すれば、自分は再び控えにまわることになる。そんな意味に聞こえなくもなかった。

 翌24日、横山は1軍登録を抹消された。

◎横山と藤浪はともにドラフト1位だが……

 横山は2014年にドラフト1位で入団した期待の左腕だ。しかし、「ドラ1」ではあっても、有原航平(日本ハム)、山崎康晃(DeNA)の「外れ外れ1位」。阪神がこの年、もっとも欲しかった投手、というわけではなかった。

 ちなみに、藤浪は2012年の堂々たるドラフト1位。4球団競合の末に、当時の和田豊監督がクジを引き当て、将来のエース候補として鳴り物入りで入団した。

 高校時代の甲子園の戦歴でも、横山と藤浪ではその差は歴然としている。

 藤浪は大阪桐蔭3年時にいわずと知れた甲子園春夏連覇を達成。大谷翔平(日本ハム)と並び、彼らの世代が「大谷・藤浪世代」と呼ばれるくらい当時から注目度は高かった。

 横山は山形中央2年時に春夏連続で甲子園出場を果たすも、いずれも初戦敗退。3年秋にプロ志望届けを提出したが、どの球団からも声がかかることはなかった。

◎チームメイトでもありライバルでもある

 同じチームの選手は、チームメイトでもありライバルでもある。同じポジションならば、誰かがレギュラーを取れば、別の誰かは必然的に控えにまわる。

 この状況は投手であっても変わらない。

 1軍の先発枠は、どのチームも最大で6枠しかない。この数少ない先発枠を競い、キャンプ、オープン戦と各選手はしのぎを削っているのだ。


◎横山と藤浪はライバル以外のなにものでもない

 横山はキャンプ、オープン戦と結果は残してはいたが、6人の先発枠に入れずに開幕を迎えた。

 そして、ようやく4月23日に登板機会を得た。5イニングの投球だったが、しっかりと勝利投手の権利を持って、リリーフ陣に後を託した。藤浪の代役として、首脳陣の期待に応える結果ではあった。

 ただ、横山にとっては決して満足すべきものではなかったはずだ。いや、満足していてはいけない。

 同じ1994年生まれの横山と藤浪。これまでのキャリアは藤浪には及ばないが、藤浪は横山にとってライバル以外のなにものでもない。藤浪の代役で甘んじていてはいけないのだ。

 「藤浪の代役」と言われるのではなく、今度はローテを実力で奪い取り、主役としてマウンドに上がってきてほしい。


  文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。


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